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シニア産業カウンセラー試験、逐語記録の基本2016

数年前よりリクエストをいただいて、

現行シニア産業カウンセラー逐語記録提出をサポートしています。 

 

ご存知の通り、シニア産業カウンセラー試験は新制度への移行期間中です。

これから新シニア養成講座を受けて、受験資格を準備される方は、

逐語演習が手厚くなるということで、受講すれば教えていただけることばかりかもしれませんが、

受験資格はあるけれども「試験での必須ポイント」という視点では習っておらず、
お困りの方がいると聞いています。

 

基準が公開されているわけではありませんが、

逐語演習で最終的に指導される内容と、合格した方々のお話を踏まえ、

押さえているべき基本を整理しておきます。

わたしが見てきた合格レベルと、合格に満たないレベルのラインということでご理解ください。

 

・セッション内容

  1.ポイント1 CoとClの対話がかみ合っていること

    初回ケースの場合、最初からでなくともいいでしょうが

    少なくとも中盤以降、CoとClがお互いに何の話をしているかが

    共有できていることは必須かと思います。リアルケースでは、初回では

    かみ合わないことはそれなりにありますが、試験である以上、

    かみ合ってないのを提出しても実力があると思われません。

 

  2.録音時間内にClの変化があり、Coの関わりによって変化が起きていること

    1と同様、リアルケースでは60分面談で変化が起こらずに終わることも

    ありえますが、試験ではCoが意図的に変化を起こせるかどうかが

    ある意味実力のわかれ目として、評価されるポイントと思われます。

    大きな変化である必要はありませんが、

    面談前と後で、Clの気持ちがすっきりしたとか、

    Clが何らかの気づきがあったとか、

    明日具体的にやろうと思えることを見つけたとか、

    小さな変化が具体的に起こっていて、それが面談中は自覚がなくても

    読み返してみてCoの応答によって起こっていることがわかれば

    提出する価値のある逐語記録と言えるのではないでしょうか。

       

・切り取る部分

  3.録音時間内の山場であること

    これは、募集要項に書かれていますね。

    変化に至る経緯が含まれた15分以内の部分です。
    Coとして役割を果たしていることがわかる部分を中心に切り取ってください。

 

・ふりかえりコメント

  4.Co発言の全てにふりかえりコメントが書き込まれていること

    ここは、ベテランの方でも手薄になることが多いようです。

    自己理解・自己統制・Co理解を評価されますので、全ての応答を振り返って

    その瞬間どういう意図でそう発言したか、それがどう働いたか、

    あまり良くない応答だった場合は今ならどう応答したいか、ということを

    しっかりと書き込みます。

 

       5.見立ての中に、Clの問題点とCoの課題が書かれていること

    フォーマットでは、「問題の見立て」という項目になっていると思います。

    Clの問題をどう見立てるかも、評価されると思います。

    できるだけ、「応答番号何番より、〜である可能性を感じた」というように

    具体的な根拠があること、解釈である必要はありませんが、

    多面的な問題理解ができていることが望ましいと思います。

    見立てに応じた、次のアプローチの展望ももちろんあったほうが良いです。

    Coの課題はさらっと触れるくらいがいいでしょうが、あまりにも基礎的な

    たとえば声が小さいとか、事柄の質問ばかりとか、だと、

    シニアの水準には達していないと評価される可能性はあります。

 

シニアの実技試験は合格率が低く、難しいとされていますが、

求められるレベルはカウンセラーとしてものすごく高度というよりは

基礎的にやるべきことが押さえられているかどうか、

それが紙面に表現されているかどうか、まさにここに尽きる。

という感覚を持っています。

 

心理技法も、何か特定のものを最初から最後まで使わなければということはなく、

むしろクライアントをしっかり理解しながら問題を見立て、

たとえば「感情の明確化」や、「リフレーミングの質問」などが自然に行われ、

それがクライアントの変化につながっていれば、十分にカウンセラーとしてクライアントの役にたつ実力があると言えます。

 

とにかくうまくいったケースの逐語を出す、のが基本で、

あとはしっかり意図が説明できていれば良いはずです。

 

実際には、そんなにうまくいっていないセッションでも、

ふりかえりがしっかり書けていれば実力が測れる部分もあるので、

それでも合格した人もいるかもしれませんが、

せっかく時間をかけて準備できるものですから、

自分至上最高の逐語を出せるに越したことはないではないでしょうか?

 

今年受験される皆さん、頑張ってください!

逐語の添削を希望される方は下記もご覧いただければと思います。

 

シニア産業カウンセラー試験逐語指導 - 傾聴トレーニング個別指導

見立てを重視すると共感できなくなる

見立てというのは、

「話の本質」に迫ることなんだけど、

早くそこにたどり着かなきゃと思うと、

クライアントさんを尊重するっていうことを忘れることがある。

 

見立ては仮説。検証するためには質問。

って教えるからね。

 

でも、カウンセラーが訊きたいことを訊く、

それはポーターの「調査的態度」そのものなんだよね。

 

そしてね、カウンセラー側の脳内活動では、見立ては「思考」なのです。

思考に偏ると、、、

そう、「感じる」が弱くなる。

 

また、「思考」に偏った質問に対して得られるクライアントさんの答えは?

を考えると・・・

もしかしたら「思考」寄り、かもしれないですね。

 

クライアントに思考させるのは、

カウンセラーの役目ではないですよ!

少なくとも、メインの役目ではないです。

 

理想は、「思考」しながら「感じる」。

クライアントさんの感情を、思考を、言葉の意味を、存在を、感じる。

 

いきなり最初からはできない。

でも見立てを前提に、言葉の端々や、観察から得られる情報を統合すること、つまり「判断」をたくさんやるトレーニングの過程で、素材への感度も上がっていく。

だから、見立て力アップ講座では、

まず共感力が下がるところから始まる。

 

見立てを重視すると共感できなくなる。一時的に。

自覚できてきたら、次のステップがあるのです。

 

おかげさまで人数が増えまして、

クラスを二つに増やそうか検討しています!

聴く力アップクラス

 

 

 

 

 

 

見立て力アップ、おまけのTIPS

見立て力アップシリーズ、最初から読んでいただく場合はこちらから。  
この記事では指導の現場で、いつも言ってることをまとめておきます。

1.見立ての共有のためにやりがちなこと。クライアントに、安易に「なぜ」をぶつけてしまう。
聴き方によって原因探しに走ってしまい援助にならない。
 
原因探し=過去にフォーカスすることです。
なぜそうなったか、本人が傷を抱えていて、過去に戻って消化したいという希望があれば別だけど、
カウンセラーの都合で原因を聴こうとするのは残念ながら完全な自己満足。
時間ばかりかかって、傷を蒸し返すことにもつながります。
 
「なぜ」は、「今、なんのためにそうしているのか」を問う、
現在や目的にフォーカスしたものなら、場合によって援助につながることがあります。
でも、ここぞ、っていう時にやることかな。意図が大事です。
 
2.カウンセラーの口癖「なるほど」などいいがち。
なるほど、って何の気なしに使う人は要注意。
自分がそう言われたら、どう感じるかを想像してみましょ。
 
なるほどがダメって言われても、最初どうしてだかピンとこないっていう反応が多いのですが、
この記事を読むとちょっと伝わるかな・・・

 「まじ」「やばい」「なるほど」を多用する…語彙力不足の代償とは

 

3.「そういうことなんですね」指示語は使わない。

わかったようでわかってないことに陥りがち。

「そう」の中身を言語化するのが仕事なんですよ。

 

他にもありそうなので、また見つけたら更新しまーす。

 
 
 
 
 
 
 
 

 

見立て力アップ講座 vol.4

シリーズを最初から読む場合はこちらから

前回、クライアントの依存について触れました。
「正しい」カウンセラーであれば、クライアントに依存させることを避けるでしょう。
 
けれど、誰でも最初から自立して、自分で考えることができるのであればカウンセラーは不要です。
カウンセラーという鏡を信頼し、頼っていただくことで、
結果的にクライアントが新しい自己発見をして成長すると考えると、
依存は「通過点」として大事な場合もあるように、最近では感じています。
 
さて、見立て力を身につけるための考え方を1から3まで書きましたが、
いろいろなケースでクライアントを理解し、見立てるためには、
カウンセラー側に人間的厚み、広い視野、感性、知識が必要になってくると思います。
 
広い視野とは、森を見て木を見て、偏りをとらえること。
すべての物事には、裏側から見た別の真実があります。誰かから見たら悪いことも、裏側から見ると誰かにとっての良いことになる。関わる人間が多ければ、それだけ見方があります。
一人の人の中でも、本人が表面上「困っていること」の根本にある本質を探っていくと、
その感情や価値観が自分自身を守るための選択であったということも多くありますね。
 
感性とは、感情そのものを感じることに加え、重さや広がりや深さを感じることです。
また、問題が客観的に理解できたとしても、
クライアント本人が腑に落ちる、気づくことでしか行動変容はありません。
この部分では、指摘するのではなく、どこに光を当てたらクライアントの視界が開けるのか、
そのタイミング、投げかける言葉の選択にも、感性が重要になるでしょう。
 
その他、努力で得られるものとして、人間理解のための知識は豊富にあるほど良いです。
親との関係や兄弟、幼少期からの大人との関わりや、学校や職場などのコミュニティが、
人間にどう影響しうるか。
たとえばこのあたりの基礎は人格心理学という理論で学びますが、
時代を超えて読み継がれている文学作品や映画などのほうが、人間理解が進んだりします。
 
わたしの場合は、マズローの欲求階層説を初めて知った時はけっこう感動しました(^^)
エリクソンの発達課題とか、アドラーの原因論と目的論とか、
知っていると、見立ての仮説の引き出しにはなります。
 
あとはよく言われることですが、
カウンセラーを目指す人はクライアント体験をたくさん積むと良いです。
自分の感情と価値観、
そして気づきによる自分の変化をしっかり客観視できるようになることで、他者理解も進みます。
 
自分の中の親との和解、自己受容は、多くのクライアントの共通課題です。
カウンセラー自身の中にもある課題です。
カウンセラーが自分の内的課題から目を背けると、他者援助は難しくなってきます。
 
逆を言うと、自分自身の課題にしっかり向き合った体験は、
よいカウンセラーになるための財産として蓄積されます。

見立て力アップ講座 vol.3

どんな感情があって、何と何が不一致を起こしているのか、構造的に見立てながら話を聴いていく、という流れを前回までに書きました。
 
シリーズを最初から読む場合はこちらから
 
わたしの感覚ではいつでも、感情が先で、
見立てはその後です。
 
感情は思考・行動の源であり、また思考・行動・身体に大きく影響を及ぼす相互関係にあります。
ネガティブな思考やネガティブな行動の根本にはネガティブな感情があります。
ネガティブな感情は、人間を守るための信号ですから、
その感情の目的、何から守られているのか、に目を向けると、
視野が広がる場合があります。
 
これらを含め、見立ては、仮説です。
このクライアントさんはこういう人で、一番言いたいのはこんなことかな、気持ちはこれかな、それともこれかな、これを大事にしているから、こう感じているのかな。
というような仮説を、お話をききながら、いくつかの方向性で立てます。
 
仮説ですから、その後に得るいろいろな情報からどんどん更新していくべきものです。
予約の段階やインテークがあればインテーク、初見のすべての言語・非言語がクライアントさんを表す情報です。
分析したり解釈したり、ということをしがちですが、フラットでいなければいけません。
 
人間理解には多角的な視野が必要です。一つの理論に当てはめるような見方は客観的理解を阻みます。
また、「分析的」「解釈的」応答があるとクライアントは不信感を持つか、あるいは自己判断を放棄しカウンセラーに依存したくなるでしょう。
 
多くのカウンセラーが陥りがちなミスはこれかもしれません。
 
応答の技法で「言い換え」がありますが、
これは本来は理解した後で言い換えるのであって、
カウンセラーが理解しやすいように言葉を変えて応答してしまうと
意味がずれていくので注意が必要です。
 
見立ては修正を前提にした仮説であること、
カウンセラーの独り合点では意味がなく、本当の問題はクライアントと共有して初めて顕在化することを常に意識して、
最適なペースを図ってアプローチしたいですね。

評価から自由でいること。「対等」のはなし

カウンセラーは、仕事を得るまでに挫折しやすい仕事だと思います。

お互いに学び合う場として、10年近く勉強会をしていますが、

今月は4/24日曜日です

なが~く通ってくださる方はほんのすこしで、

あとは出入りがわりとあります。

資格取得後、仕事になるまで学びを続ける人はごくわずか。

 

一つには、なかなか技術に自信が持ちづらいこと。

もう一つは、そもそも自分に自信が持ちづらい人が志すケースが多いこと。

 

が、原因であることは、よくわかるのです。

 

技術力については、

とにかくケース数や、ロールであってもいろんな人のお話を聴かせていただくことが重要です。

そこで、聴きっぱなしだと、成長スピードは遅いので、

セッションで何が起こって、自分はどう関与したかという、

「深い振り返りの経験」をたくさん重ねること。これにつきます。

 

ずっと繰り返すことで、対応力・援助力が上がります。

地道ですがこれが、土台になって、自信がつくのです。

技術を上げたい人はCC協会の実践クラスに来てね。

聴くチカラup - 傾聴トレーニング個別指導

 

今日は、マインドの話もしたいと思います。

 

先日、卵ちゃんたちに、カウンセラーはすべての人と対等でいてね、

と言いました。

 

「対等」。

これ、ロジャーズも言ってることなので、

有資格者なら教科書で必ず読んでるはずですが、

お題目じゃなく本当に自分に問いかけてほしい大事な「あり方」です。

 

目上であっても年下の人にでも、丁寧に接するのは気持ちのいいことです。

でも、丁寧に接するのと上下関係を持ち込むのは別のこと。

 

例えば先輩や、押しが強そうな人と比べて自分を「下」に位置づける人。要注意です。

小さい子に対して、何かを「やってあげるのが当たり前」と思っている人、

逆に子どもだから大人の言うことを聞かせて当たり前、と思っている人もです。

あと、役に立つか立たないかで、自分や人を判断する人も同じ。

 

目の前の誰かを常に、自分より上か下かで見がちな人は、

他者からの視線で自己評価を決めやすい。

人にいい人、役に立つ人と思われないと自分はダメと思っちゃう。

行動のモチベーションが、人に好かれるか嫌われるか、になっちゃう。

嫌われたら嫌だから、自分には荷が重いことや、やりたくないことも引き受けちゃう。

自己犠牲が過ぎちゃうんですよね。

 

大人も子どもも、地位がある人もない人も、役に立つことがあってもなくても、人間はみんな対等。

これを、頭でわかっているだけでなく、体現できることを目指せるといいんです。

どうやったらそうなるか?

まあ、気持ち一つです。

タイトルの通り。評価から自由になる。


どうなったらそうなるか・・・

たくさん話し合って、自分の心理的死角に気づいて、少しずつ腑に落とし込めるような場所も、

作っていきたいと思っていますよ。

 

人の感情が理解できる聴き方をレベル1とするならば、という話。

2年ほど付き合っているクライアントさんがいます。

 

クライアントから学ぶことは、その都度いろいろあります。

付き合いが長くなると、クライアントの変化が大きいので、こちらも今、自分がやっているカウンセリングの意味がわからなくなることもあったりします。

でもその時におたおたしてもしかたないので、

わからないなあーと思いながらも、カウンセラーは「あるがまま」でいることしかできません。

 

意味がわかろうが、わかるまいが、とにかく「あるがまま」つまり自己一致した状態でいることが最善であり、実際はそれしか援助には役立たない。。。と言いたくなる日も、あったりします。

 

カウンセラーとして、最初に学ぶのは、「クライアントの感情を理解する聴き方」です。

これを仮に、レベル1としましょう。

いつも言っていますが、ここはセンスも多分に影響して、

できない人はなかなかできませんが、

カウンセラーでなくても営業でも、教育担当でも、良好な家庭を築くためにも大事だったりします。

 

さて、人の感情を理解できるようになったとしても、

それだけでは職業としてはなかなか難しいです。
何か、問題を見つけなければ、解決した感が共有できません。

自分のサービスは何なのかを説明することもできません。

ということで、次の段階は「クライアントの問題を見立てる聴き方」を学ぶこと。

これがレベル2。

 

ですが。

感情を理解して、問題を見立てることができても、本当の援助ができるようになるとは限らないと、

実際のクライアントを前に悩むことはそれからたくさん、たくさん起こると思います。

なぜか?

見立てるべき、解決すべき問題があるときばかりではないから。

 

ただ、さまざまな要素の巡り合わせで、長く付き合わせていただけているクライアントさんからは、

やはりいつも「今」の気持ちを聴くことだけが援助の道だと、

教えていただいているなあと思います。

 

感情は、変わります。

思考に一貫性はありません。

でも、クライアントも自分も、人はみんな、神様の視点で見れば、大いなる流れに乗っている。。。という見方をしてみると。

カウンセラーとしてできることは、

あるがままでありながら、クライアントのそのときそのときの感情に耳をすませる。

ということに集約されるようにも思います。

 

ということでレベル3は、自分の役割がわかること、ではないでしょうかね^^

 

 

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